ABSはきちんと機能してる?警告灯が点灯したらどうするべきか

ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)は、急ブレーキ時のタイヤロックを防ぐための装置です。二輪車にも広く導入が進んでおり、2021年10月からは一部の車両を除き、51cc以上のバイクに義務化されています。ABSが搭載されることで、急ブレーキでも車体が安定しやすくなり、ブレーキング時の安全性が大幅に向上します。

一方で、ABSにトラブルがあると警告灯が点灯します。このサインを無視して走行を続けると整備不良とみなされる場合があるので、注意が必要です。この記事では、ABS義務化の背景やABS警告灯の役割、点灯時の対応方法について詳しく解説します。ABSのトラブルを防ぐためのポイントもご紹介しますので、安全で快適なライディングにお役立てください。

なぜABSが必要?その役割とは

ABSは、ブレーキ操作が過剰になった際に車体が安定するように設計されたシステムです。バイクはクルマに比べてタイヤが地面と接する面積が狭く、急ブレーキ時には簡単にタイヤがロックしやすいのが特徴です。タイヤがロックするとコントロールを失いやすく、転倒のリスクが高まります。ABSがあることで、タイヤのロックを防ぎ、急なブレーキでも安定した停止をサポートしてくれます。

こうした背景から、2018年に新型バイクでの義務化が始まりました。以降、段階的に適用範囲が拡大され、2021年には継続生産車を含む多くの車両でABSの義務化が完了しています。これにより、新車を購入する際は原則的にABS搭載車のみが選べるようになっています。ABSがないと、安全基準を満たさないためメーカーも販売できない仕組みです。

ABS義務化の対象外になるケースも

ABS義務化の適用範囲は基本的に51cc以上のバイクが対象ですが、125cc以下の小型バイクは例外です。この場合、前後のブレーキが連動する「CBS(コンビブレーキ)」が搭載されていればABSに代わる形で基準をクリアできます。また、特定の競技用オフロードバイクやトライアルバイクではABSの義務化が適用されません。競技用車両では、タイヤの滑りを利用してのコーナリングやスライドが必要となるため、ABSがあるとかえってコントロールが難しくなる場合があるためです。

ABS警告灯が点灯してしまったらどうする?

ABS警告灯は、ABSシステムに異常が生じた際に点灯するランプです。多くの車種ではエンジンをかけた後に一度点灯し、走り出すと消えるように設計されていますが、走行中や停車後も消えない場合は、ABSシステムが何らかのエラーを検知している可能性があります。

ABS警告灯が点灯したままの状態で走行を続けると、整備不良と判断されることがあります。この状態で車検に通らないケースもあるため、注意が必要です。万が一、走行中に警告灯が点灯した場合は、速やかにバイクの修理店や販売店で点検を受けることをおすすめします。

警告灯が点灯しても慌てないためのトラブル対策

ABSのトラブルは、センサーや制御ユニットの不具合などさまざまな原因で発生することがあります。以下は、警告灯点灯時に考えられる一般的な原因です。

1. ホイールセンサーの汚れや不具合

ABSはタイヤの回転速度を計測しながらブレーキを制御します。タイヤの回転を感知するためのホイールセンサーが汚れていると、正確な情報が伝わりません。特に、オフロード走行などで泥や砂が溜まると、センサーの精度が落ちることがあります。

2. 配線の劣化や接触不良

ABSユニットとホイールセンサーをつなぐ配線が断線や劣化で影響を受けると、警告灯が点灯することがあります。湿気や雨天での走行が多い場合や経年劣化によって発生しやすいトラブルです。

3. ABSコントロールユニットの故障

ABSの動作を管理するコントロールユニットに異常が発生すると、警告灯が点灯します。複雑な電子制御システムが内蔵されているため、部品の摩耗や劣化で異常を感知しやすくなります。

4. バッテリーの電圧低下

バッテリーが古くなり、電圧が不足するとABSの機能に支障が出る場合があります。バイクの電装系はバッテリーに依存している部分が多いため、ABSだけでなく全体のシステムに影響を及ぼす可能性があります。

警告灯が点灯したら修理が必要?放置するリスク

ABS警告灯が点灯した場合、「まだ普通に走れるから」と放置するのは危険です。ABSの機能が働かない状態で急ブレーキをかけると、タイヤがロックしやすくなり、事故のリスクが高まります。また、警告灯の点灯状態で運転を続けると整備不良と見なされ、車検に通らない可能性があるため、早めの対処が肝心です。

ABSシステムは安全装置の一つであるため、作動していない状態での走行は危険と判断されます。加えて、法的にも問題があるため、街頭検査や車検で不備を指摘されることがあります。点検を受けないまま走行すると整備不良と見なされ、改善が求められる場合もあるため注意が必要です。

ABSを故意にキャンセルすると違法?

ABSの警告灯が点灯したまま走行するのは危険ですが、ABSを完全に無効化したり解除したりする行為も禁止されています。ABSの義務化は「安全基準」として定められており、適用対象となるバイクでは、ABSを切り離すことは法的に違法とされています。

ABSの機能を無効化することで、ブレーキの動作が適切に行われなくなり、緊急時の制動力が大幅に低下する恐れがあります。また、ABSを無効化した状態で公道を走行すると不正改造と見なされ、罰金が科されることもあるため注意しましょう。

警告灯が点灯しないために日頃からできるメンテナンス

ABSは安全なライディングを支える重要な装置です。警告灯が点灯しないようにするためには、定期的なメンテナンスが大切です。以下に、ABSのトラブルを未然に防ぐための基本的なメンテナンスポイントを紹介します。

1. ホイール周りの清掃

ABSのセンサーは、ホイール周りに設置されています。泥や汚れが付着していると、正確な計測ができなくなるため、定期的にホイールやセンサー周りを掃除しましょう。

2. バッテリーの定期チェック

ABSをはじめ、電装系の安定動作には十分な電圧が必要です。バッテリーの劣化が進むと電圧が低下し、ABSにも影響を及ぼす可能性があるため、定期的にバッテリーの電圧を測定しておくことが重要です。

3. 配線の確認

ABSはセンサーとコントロールユニットをつなぐ配線が整備されていることが前提です。配線が摩耗や損傷していると接触不良が発生しやすくなるため、定期的な配線の確認も忘れずに行いましょう。

4. 定期点検の実施

ABSの異常は自己診断だけでは分かりにくい場合もあります。年に1~2回の定期点検を受け、システム全体のチェックを行ってもらうことで、ABSの故障やトラブルを未然に防ぐことができます。

まとめ:安全な走行のためにABSを正しく維持しよう

ABSの搭載が義務化され、安全面でのメリットが広く認識されるようになりました。しかし、ABS警告灯が点灯してしまった際にそのまま放置してしまうと、整備不良や故障につながることがあります。特に、ABSは急ブレーキ時の安全性を確保するための装置なので、正常に作動しないと事故のリスクが高まることもあります。

警告灯が点灯した場合には、早めにバイクの整備店で点検を受けましょう。また、日頃から定期的なメンテナンスを行い、ABSが常に正常に機能するようにすることも大切です。安全で快適なライディングを楽しむために、ABSのトラブルは軽視せず、適切なケアを心がけましょう。

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